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稲森康利先生の2009年12月までのブログはこちらからご覧いただけます。

Born To Be Blue (ボーン・トゥ・ビー・ブルー) [詞(ことば)で聴くジャズ]

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青空に映える新緑や色とりどりの花々が目を楽しませてくれる5月。カラフルな季節を迎えた今回は、歌詞の中で色がキーワードになっているスタンダードの中から♪Born To Be Blue(邦題:ボーン・トゥ・ビー・ブルー)を取り上げました。

英詞とスティーブ・ミラーの歌

<概略>クローバーに囲まれて暮らすように生まれついた人がいるようだけど、僕は緑色のクローバーなんて見たこともない。だってブルーに生まれついたのだから。頭上の黄色い月だって金色に輝く光が眩しすぎて僕の目には映らない。だってブルーに生まれついたのだから。君に出会ったとき世界は輝いていたけれど、君が去ってその世界は色褪せてしまった。それでも君を愛する喜びを知り僕は幸せな方なのかもしれない。だってブルーに生まれついたのだから。

美しく繁るクローバーも空に浮かぶ輝く月も僕の目には映らない。なぜなら僕は不幸のフィルターを通して世の中を見ているから。君が去ったことだって孤独に生まれついた僕の運命。だから仕方がないのさ。。という内容のメル・トーメとロバート・ウェルズのコンビによる作品。ネガティブな主人公の心情を歌っていますが、歌詞は緑、黄、金、青といった色彩語に彩られ、全体にブルーなベールに包まれてはいるものの暗くなりすぎず、柔らかな美しさを併せ持つ歌という印象を受けました。

色は人間の感情を象徴する比喩表現としてよく用いられますが、普遍的な表現もあれば国や文化の違いによって異なる表現もあります。英語の“blue” は日本語の「青」に相当しますが、二つの言語に共通しているのは、青は「恐怖」を意味する色であることです。例えば、日本語で「彼女はそのニュースを聞いて青ざめた。」は、英語ではShe went blue in the face to hear the news.のように表現できます。一方、英語のblue はこの他に、「憂鬱」や「落胆」を表現するときにも用いられます。この歌詞のblue もそうですし、Blue Monday(憂鬱な月曜日)などはお馴染みの表現でしょう。けれどもこれは各言語に共通した概念ではなく、ドイツ語では“Blauer Montag”(青い月曜日)は「仕事のない月曜日」を意味しますし、日本語においても、英語の影響を受けてはいるものの、本来「青」に「憂鬱」を表す用法はありません。

歌詞の中の表現や色彩語を見てみますと、live in clover(クローバーに囲まれて暮らす)のin cloverは「裕福に、安楽に」を表す熟語、green(緑色)は英語では「嫉妬、やきもち」を表す色、「未熟な、未経験な」の意で使われることもあります。yellow(黄色)は「嫉妬深さ、臆病」あるいは「悲しみ」を象徴する語、gold(金色)は、「金貨」や「希少価値」を表しますから、歌詞の中ではblueに対比する色として豊かさや明るさの象徴として使われているのでしょう。以前取り上げたスタンダード♪Blue Moonにも「青い月が金色の月に変わった」というような表現がありました。

ジャズのスタンダード曲の中で一番多く登場する色はblue だと思いますが、「青」が感情比喩表現としてどのように機能して、曲全体の雰囲気にどんな影響を与えているのかに注目しながら歌詞を読んでみるのも興味深いかもしれません。

文:藤澤ゆかり

●Blue(ブルー)関連曲が掲載されている楽譜
♪Little Girl Blue
ジャズピアノスタンダード
http://www.inamori-method.com/score/index.php?ID=28&cID=1

♪Blue In Green ♪Blue Moon
リードシート奏法3
http://www.inamori-method.com/score/index.php?ID=10&cID=1

♪Blue In Green
リードシート奏法4
http://www.inamori-method.com/score/index.php?ID=93


update:2012年05月07日(月) by 管理者 at 17時07分 パーマリンク コメントをする方はコチラ ( 0 )

The Girl From Ipanema (イパネマの娘) [コードからも味わう♬ジャズ、ボサノバ]

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資料※@、※A (クリックすると拡大できます)

The Girl From Ipanema(イパネマの娘)   1962年

前回に引き続き、アントニオ・カルロス・ジョビンの名曲【The Girl From Ipanema】について解説させていただきます。

この曲はA−B−Aから成る三部形式で構成されており、歌詞は次のような意味になります。

A すらりとした 褐色の肌の娘が
イパネマの娘が歩いていく……(以下省略)

B でも彼女は寂しげだ
何もかも、なぜこんなに悲しいのか
僕は喜んでこの心を差し出すのに、でも海へ
歩いていく彼女は僕を見てはくれない

(Aへ戻る)

クラシック音楽ではT(1度)、W(4度)、X(5度)[X7(属七)を含む]を基盤としたコードや、同じ機能を持つコードが多く使われます。
このX7→Tの進行が曲中に出てくると非常に安定した響きが得られ、一段落したような印象になります。ベースがX音である事がポイントです!資料※@

ではThe Girl From Ipanemaの中ではどこにこの進行が出てくるでしょうか?!……実はBの最後の小節でX7が使われ、戻ったAの1小節目でTの和音になり、そこで初めて安心したような響きが得られるのです。資料※A
【注:Bの中でX7→Tの進行自体は出現するが、あくまでも転調の過程、又は借用和音として考えられるため、ここでは安定した響きとは言い難い。】

この曲は今ではたくさんのアーティストによって演奏されていますが、Aの部分はFmajor(ヘ長調)である事が多いです。歌詞はイパネマの娘がどんな様子で、いかにステキであるか…という内容です。

Bに入るとG♭major(変ト長調)に変わります。Aから見て半音上の調に転調していますが、ヘ長調の調号は♭1つなのに対し、変ト長調は♭6つなので、曲の展開もガラリと変わったように感じられます。
ここからAであるヘ長調に戻らなければならないので、転調を経て不安定な雰囲気をかもし出しながら曲は進んでいきます。
歌詞も彼女が悲しそうである様子、それを見ているのが悩ましい様子とうまくマッチしているように思えます。

このようにジョビンの曲は再度Aの部分が現れるまで安定したコードを使わず、ちょっとした緊張感を引っ張ってきたり、転調や少し珍しいコード進行をうまく利用しているため、聴いていて、はっ!とする所や新鮮味を感じる部分が多く、私は好んで聴いています。

分析をしていても凝って作られている事がよく分かります。それはジョビンがブラジル音楽、クラシック音楽、ジャンルにこだわらず、様々な音楽を勉強してきた証なのでしょう。

文:中田美月


《"The Girl From Ipanema"が掲載されている楽譜》

●Improvisation Workshop BOSSA NOVAS(ボサノバ) CD付
稲森康利 著 中央アート出版社
http://www.inamori-method.com/score/index.php?ID=6&cID=1

●ジャズ・ピアノ・スタンダード  
稲森康利 著 中央アート出版社
http://www.inamori-method.com/score/index.php?ID=28&cID=1


update:2012年04月24日(火) by 管理者 at 10時52分 パーマリンク コメントをする方はコチラ ( 0 )

「ポピュラーピアノ演奏法」第1回 [ポピュラーピアノ講座]

稲森康利ポピュラーピアノ講座
「ポピュラーピアノ演奏法」第1回    2012.4.22


第1回は、まず「音程」と「6つの基本コード」について学びました。今回会場で受講者されている皆さんは、すでにコードはある程度わかっている方たちでしたが、楽譜に書く場合の正しい臨時記号表記など意外にわからないものです。

後半は、ポピュラーピアノとジャズピアノの違いについてでした。稲森先生はポピュラーピアノスタイルで「タラのテーマ」と「To Love Again」、ジャズピアノスタイルで「Misty」と「There Will Never Be Another You」を演奏されました。ゴージャスなサウンドに思わす受講者から拍手が起こりました。

次回(5月27日)は、いよいよテキストの「リードシート奏法vol.1」を中心に演奏法を学びます。  (東京本部 茂木)

稲森康利ポピュラー講座
http://www.inamori-method.com/jazz.php

リードシート奏法Vol.1
http://www.inamori-method.com/score/index.php?ID=29


update:2012年04月23日(月) by 管理者 at 06時39分 パーマリンク コメントをする方はコチラ ( 0 )

稲森康利ジャズ講座「ブルース・ブルース」第6回 [ジャズ講座]

稲森康利ジャズ講座「ブルース・ブルース」第6回 2012.4.8

最終回の今回はセロニアス・モンクの『Ba-Lue-Bolivar Ba-Lues-Are』のアドリブ分析を行ないました。
モンクのアドリブの特徴はホールトーンスケールを使う事、2度音程で構成されたハーモニーを使う事、ブルーノートのb5を強調させる事にある様です。
また理論では考えられない事をするのがモンクだと先生はおっしゃっていました。

最後に稲森先生の『Misty』の素敵な演奏もありました。先生、『ブルース・ブルース』の講義、ありがとうございました。

次回からは 先生の著書『ザ・ジャズ・コード』からレフト・ハンド・ウ゛ォイシングを集中的に学びます。

文:川地千賀

稲森康利ジャズ講座
http://www.inamori-method.com/jazz.php
ブルースブルースvol.1
http://www.inamorimethod.com/score/index.php?ID=61&cID=1



update:2012年04月15日(日) by 管理者 at 13時14分 パーマリンク コメントをする方はコチラ ( 0 )

Stella By Starlight (星影のステラ) [詞(ことば)で聴くジャズ]

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日を追うごとに暖かくなり過ごしやすくなりました。都内では桜が満開となりいよいよ春本番です。今回も春にちなんだスタンダードの中から、♪Stella By Starlight(邦題「星影のステラ」)を取り上げました。

英詞とエラ・フィッツジェラルドの歌

<概略>コマドリのさえずる歌、繰り返し訪れる終わりのない春、夕暮れ時の小川のせせらぎ、恋人たちの隠れ家に立つさざ波。この素晴らしいシンフォニーのテーマは星明かりのステラ。私は思う、彼女こそこの世のすべてだと。

もとは1944年のホラー映画「The Uninvited(呪いの家)」のテーマ曲で、歌詞はその2年後、「星に願いを」などの作詞も手掛けたネッド・ワシントンによってつけられました。現在はラブソングとしてお馴染みのスタンダードですが、歌詞は映画の内容を意識しているのか、美しくもどこかミステリアスな表現描写がされていて、それがこの曲の魅力のひとつではないかと思います。Stella(ステラ)はこの映画に登場する女性の名前で、イタリア語で「星」を意味します。星の美しさに匹敵する女性、それも素晴らしいシンフォニーのテーマ (great symphonic theme)として讃えられているわけですから、極上の女性というイメージでしょうか。

タイトルに人名が登場するスタンダードにはこの曲以外にも、♪Alice In Wonderland, ♪Alfie, ♪Waltz For Debby, ♪Have You Met Miss Jones, ♪Mona Lisaなどが思い浮かびます。これらの名前の由来を簡単にご紹介しますと、Alice(アリス)はドイツ語のadal(高貴な)に由来、Alfie(アルフィー)はAlfred(アルフレッド)の愛称で、これは古い英語で「賢い助言」という意味、Debby(デビー)はDeborah(デボラ)の愛称で、ヘブライ語の「蜜蜂」が語源、聖書由来の名前でもあるようです。さらにJones(ジョーンズ)という姓は父親の名前に由来する姓で、「ジョンの息子(娘)」を意味します。たとえばMcDonald(マクドナルド)などのようにMc(マック)のついた姓はスコットランド系と言われますが、これはMcがスコットランドのゲール語で「〜の息子」を意味するためで、これもJonesと同様に「ドナルドの息子」という意味で、姓のない時代に「〜の子」と呼称したことが始まりのようです。Mona Lisa(モナリザ)のMona(モナ)はイタリア語で「婦人」の意、Lisa(リザ)はElisabetta(エリザベッタ)の短縮形で、これは「わが神はわが誓い」を意味するヘブライ語のEsisheba(エリシェバ)が語源、英語名ではElizabeth(エリザベス)がこれにあたります。

名は体を表すなどと言いますが、楽曲、映画、小説などのタイトルに使われる人名には、登場人物のイメージや作品の内容を示唆するものもありますので、そんな視点で作品を鑑賞してみるのも面白いかもしれません。

「星影のステラ」の「影」は「光」を意味します。一方で「影」は否定的な暗喩として使われることもあります。主観ですが、♪Stella By Starlightの邦題が「星明かりのステラ」ではなく「星影のステラ」と訳されているところに、まるで映画の内容をも暗示しているかのような言葉の「闇」を感じたのは私だけでしょうか。

文:藤澤ゆかり

●「Stella By Starlight」掲載楽譜
インプロヴィゼーション・ワークショップ・シリーズ  
中級★Standards(スタンダード)  稲森康利著
http://www.inamori-method.com/score/index.php?ID=7&cID=1

●ジャズ・ピアノ・スタンダード  
稲森康利 著 中央アート出版社
http://www.inamori-method.com/score/index.php?ID=28&cID=1


update:2012年04月10日(火) by 管理者 at 12時54分 パーマリンク コメントをする方はコチラ ( 0 )

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